子宮頸がん予防ワクチンQ&A

19.
英国では子宮頸がん予防ワクチンを男性にも接種することが検討されているそうですが、その背景、今後の方向性はどうでしょうか。

 男子への子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)接種はとても複雑なテーマで、国によって状況も違うので*、今のところ one pattern fits all「一つが全てに当てはまる」という状況ではないと思います。 
 子宮頸がんの他に、HPVは咽頭がん、喉頭がん、外陰部がん、膣がん、陰茎がん、肛門がんの原因にもなります。けれども、子宮頸がん以外のものはHPV以外にも原因があります(例えば咽頭がんと喉頭がんは、喫煙と飲酒も原因となる)。また、HPVが原因による女性の死亡者数は男性の20倍で、そしてこの90%は子宮頸がんが原因です。これらの理由とHPVワクチンが高額であることから、多くの国では子宮頸がんだけをターゲットとしていて、接種対象が女子のみとなっています。男子への接種、例えば咽頭がん・喉頭がんへのワクチン接種は費用対効果が悪いと考えられています。これらのがんの治療費用よりも、全国民の男子へワクチン接種を行う費用の方が高いからです。 
 男子にも接種を行う理由は:
1:HPVワクチンを受けていない女子を子宮頸がんから守る 
2:肛門がんの発症率の高い男性同性愛者を守る(HPVが肛門がんの90%以上の原因となる) 
3:HPVが原因となる子宮頸がん以外のがんから男子も女子も守る 
 英国はまだ具体的なプランを発表していませんが、3年おきにワクチンプログラムの見直しを行っているので、2015年まで変更はないでしょう。どの国においても、男子へのワクチンプログラムの最大の障壁は、費用です。

*オーストラリアでは男児へ広く接種が行われるようになっています。 
http://www.cancer.org.au/news/news-articles/boys-join-national-hpv-vaccination-program.html

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