子宮頸がん予防ワクチンQ&A

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B型肝炎ワクチンは大人にも積極的に勧めるべきでしょうか。(妊娠前のチェックでHIV.HCVなどと一緒に希望者に勧めています。ほとんどの人はHBsAg.Ab(-)です)

 B型肝炎のキャリアは130万人から150万人と推定されています。また、年間の急性B型肝炎は1万人程度で、入院を要する患者は2,000人から2,500人とされています。慢性化しやすいゲノタイプAが50%をしめ、その10%が慢性化するとすると、年間500人のウイルスキャリアが発生していると推定されます。日本では、WHOが推奨しているにもかかわらずユニバーサルワクチン(全員に接種すること)になっていないので、B型肝炎ウイルスに対する抵抗力を持たない方がほとんどです。B型肝炎ウイルス感染者の多さと水平感染が起きやすい事から、B型肝炎は成人でも、いつ誰が感染してもおかしくありません。またゲノタイプAが50%まで増え、成人でも急性肝炎で終わらず、慢性肝炎、肝硬変、肝癌に進行する事があることを考え合わせると、B型肝炎ワクチンは大人にも積極的に勧めるべきです。ワクチン接種が進まないと、今後日本ではB型肝炎が増えていくでしょう。なお、海外では、ユニバーサルワクチンが広まったことから、感染者は減少しています。 
 なおHBs抗原陰性のOccult HBV感染症が知られています。HBs抗原アッセイでは検出できない微量のB型肝炎ウイルスが一過性感染後に残存することにより起きます。免疫抑制療法を行う時、この微量のHBVが急激に増加してde novo 肝炎という大きな肝炎を起こすことも知られているので注意が必要です。

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