活動報告

「予防接種法改正における子宮頸がん予防ワクチン」記者懇談会
日時:2013年3月18日(月)18:00~19:00 
場所:参議院議員会館1F 102会議室

「子宮頸がん予防ワクチン」を定期接種とする今回の改正法案について、3月12日に当会議など4団体による要望書を厚生労働大臣等に提出している。この要望書の趣旨、公衆衛生のためのワクチンの重要性と子宮頸がん予防推進につながる予防接種法のありかた等を伝えるための記者懇談会を開催、メディアなど約30名が参加した。

要望書の趣旨説明
まず当会議実行委員長・今野 良が、要望書の趣旨について説明した。
今回の改正法案では、「子宮頸がん予防ワクチン」の対象疾病名が「ヒトパピローマウイルス感染症」と表記されたが、医学的に間違っている。子宮頸がんは「ヒトパピローマウイルス感染症」ではない。「ヒトパピローマウイルス感染症」といえるのは、手足のイボであり、それを定期接種にするのだろうか。「ヒトパピローマウイルス感染症」ではなく「子宮頸がん」と明記すべきだ。

さらに、今回の要望書提出に同意した患者団体・啓発団体からもコメントを発した。
<NPO法人子宮頸がん啓発協会 難波 ミチヲさん>
子宮頸がんが性感染症と思っている人も多い。病気の不安がある上に、その偏見も患者のストレスになる。正しい知識が広まって、ストレスが減るようにしてほしい。
<一般社団法人女子大生リボンムーブメント 新井 涼子さん・阿部 友香さん>
子宮頸がんに関しての勉強は学校ではなされていない。「ヒトパピローマウイルス感染症」では、分からない病気。子宮頸がん予防ワクチンの接種率が伸びるようにしてほしい。
<特定非営利法人子宮頸がんを考える市民の会 渡部 享宏さん・横田 まいこさん>
全国民のみなさまがわかりやすい言葉にしてほしい。

ワクチンについての説明
また、当会議実行委員長・今野 良と、実行委員・鈴木光明が、専門家の立場から子宮頸がん予防ワクチンに関する正しい情報をお伝えした。メディアからは、ワクチンの副反応や救済制度、効果の持続期間などについての質問が寄せられた。

●ワクチン接種後の痛みについて
子宮頸がん予防ワクチン接種後に疼痛やしびれが生じるのは、複合性局所疼痛症候群(CRPS: Complex regional pain syndrome)と考えられる。これは一般に馴染の薄い病気だが、外傷、骨折、注射針等の刺激がきっかけになって体の各部に痛みが現れるもので、ワクチンの成分によっておこる性質のものではない。このような副反応を引き起こす背景因子は明らかにされていない。今はまだ診断基準もなく、厚労省の研究班で研究している段階だ。

●インフルエンザと比較した副反応の出現率
インフルエンザワクチンと子宮頸がん予防ワクチンとは、発売されてからの年数や副反応の報告システム・様式、母数等も異なるため、単純に両者を比較することはできない。
子宮頸がん予防ワクチン接種後の副反応の発現状況については、厚労省の検討会がこれまで3回開かれている。
2011年9月12日付子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会:
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ohxu-att/2r9852000001oi3l.pdf
2012年10月29日付子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会:
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002n1p8.html
2013年3月11日付子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会:
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002x5rx.html
副反応としてよく失神があげられるが、失神は迷走神経反射であり、思春期の女性に起こることで、子宮頸がん予防ワクチン以外でも起こすことがある。失神と報告されている数は、ワクチンの副反応の場合もあるし、ただの有害事象もある。

●救済制度ついて
任意接種と定期接種では、被害救済保障制度が異なる。現在は任意接種のため、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が実施する医薬品副作用被害救済制度および自治体の保険によって保障される。どの自治体も、独自に高額の保険に入っている。子宮頸がんワクチンが定期接種になれば、今後、被害が発生した場合には予防接種健康被害救済制度によって、より手厚い保障が受けられることになる。

 

 

 

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