活動報告

「第5回子宮頸がん予防活動奨励賞」表彰式開催
日時:2016年6月2日(木) 16:00~18:00
会場:東京国際フォーラム ガラス棟(東京・有楽町)

当会議では、「子宮頸がん検診」と「子宮頸がんワクチン」のさらなる普及をめざし、2011年に『子宮頸がん予防活動奨励賞』を創設。これは、子宮頸がん予防活動の実績や成功例を広く公開することにより他団体等の活動に活かしていくため、子宮頸がん予防に取り組む団体・個人を表彰するもの。


 2016年は第5回の募集を行い、子宮頸がん予防(検診とワクチン)の目覚ましい成果がある、活動が実践的で啓発のモデルになりうる、多角的で他領域との連携がおこなわれている、一般の人々との良好なコミュニケーション・アプローチをとっている、正しい医学的知識に基づいた活動である、などを選考基準とし、審査の結果、2件の表彰を決定。2016年6月2日(木)表彰式を開催、受賞団体やメディアなど約20名が参加した。

 表彰式では、当会議議長 野田起一郞が「当会議は2008年に創立し、かなりの活動の歴史がある。その目的は医師という狭い限られたものだけではなく、行政やメディアや社会や看護師などいろいろな分野の専門家の方に集まっていただき、グローバルで子宮頸がんのことを考えましょうということで始めた会。この奨励賞は2011年に独自の立場で子宮頸がん征圧をめざし活動している個人あるいは団体を表彰するという目的で子宮頸がん予防活動奨励賞を設けた。今回表彰された個人・団体の活動を今後のみなさんの参考にしていただきたい」と挨拶した。その後、各受賞者に議長より賞状と記念の楯を贈呈。続いて当会議実行委員長 今野 良が受賞理由となった各受賞者の活動のポイントを紹介。これを受けて、リコー三愛グループ健康保険組合の事務局長 西川禎英氏より 「当健康保険組合の施策としてもともと35歳以上全員の人間ドック受診を29年前より実施している。35歳以上全員が施設型健康診断を受けるという経緯がある。4年前より全員が人間ドックを受けることはどうだろうかという議論があり、事業主と協議をして新たに総合健診を始め、女性のがんの検診を必須項目とした。8割から9割は受診率を期待していたが、実際は7割程度であった。今後は受診率の更なる向上をめざしたいと考えている。また、今後の取り組みとして被扶養者の検診をどのように進め、受診率の向上を図るかが課題だと思っている。」と今後の課題と取り組みを含め話した。続いて加藤順子氏より「普段顕微鏡を覗いているのですが、最近若い方に子宮頸がんが増加していると実感してきた。またその原因がHPV感染であることがわかってから、他のがんと違って早く発見すれば防げるがんであることをみなさんに広めたいと思ったことがきっかけで活動を始めた。いろいろなイベント等を行い、小学生やその保護者などの一般の方に子宮頸がんの原因がHPVであるということを知識として広め、その情報に少しでも興味を持っていただくきっかけを与えること、同じ検査士の立場でもこのような活動が大切だという事を伝えること、検診の精度を上げるために、正しい検診内容やデータを上げていくための論文等を書き広めることの3つを大切な活動としてきた。しかし最近はこれらの活動だけでなく、行政に働きかけていくことも大事な活動となると感じている。」と今後の課題と活動について話した。

 さらに、当会議が毎年全国自治体に実施している「子宮頸がん検診受診状況」及び「子宮頸がんワクチン公費助成接種状況」についてのアンケート調査の2015年実施の集計結果報告と解説を今野 良が発表した。

 表彰式の最後に当会議実行委員 鈴木光明より「個人として会社として地道に活動されていることに敬意を払い更に活動されることを期待する。ただ一つ残念なのは子宮頸がんワクチンの件は別のところで大きな問題となっていること。当会議の活動目的は子宮頸がんの検診と子宮頸がんワクチンの推進の2つの大きな柱だったので、これからの1~2年で子宮頸がんワクチン接種を再開していきたい。また来年はぜひ子宮頸がんワクチンの普及活動のことも含めて表彰できるようになってほしい」と子宮頸がん予防活動のさらなる継続・発展を願い、閉会した。
続く親睦会では、当会議実行委員の宇田川康博より「以前は子宮頸がんとは不治の病だったので治したいが治せないということが残念でならなかった。しかし時代は治せないというより最初から子宮頸がんに罹らない、罹らせない状況に至っているが、今は足踏みをしている状況となっている。今後必ずいい方向になっていくと信じている」と挨拶した。委員の中板育美より「今はすべてのがんは即刻死につながる病ではなく治るもの、また予防できるがんもあるという時代になってきた。普及啓発・検診の取り組みを通して正しい情報を正しい知識にしていただいて、自分たちが若い女性にまたパートナーである男性に正しい知識を持ってもらう。このことが結果的に自分で自分の身を守る、自分で自分の体を守る、自分で自分の健康を守る、そのために何が必要なのかを選択するという力をつけることが大切だと思う。子宮頸がんワクチンがこれから進んで、世界的には進んでいるが、さらに進んでいく時に、自分で選択できるようなことがその一歩だと思うので、皆さんの活動が横展開していくことを期待する」と挨拶した。その後は参加者同士よる意見交換が行われた。

 最後に当会議実行委員長の今野 良より、「目の前の方々、ひいては地域、国の方々の健康が私たちの共通の願いだと思う。それをいろいろな立場でアプローチしていい結果が得られるようにということが当会議の目的でもある。短い時間ではあったけれどいろいろなお話がみなさまとできたこと、ここで表彰されたことをみなさんの誇りに思っていただきたい」と挨拶し締めくくった。

【奨励賞受賞団体】

  • リコー三愛グループ健康保険組合
  • 加藤順子氏(日本セルネット)


受賞者とともに

 
リコー三愛グループ健康保険組合
事務局長 西川禎英氏


加藤順子氏

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