「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」設立記者発表会

日時:2008年11月20日(木) 18:30~20:00
会場:アルカディア市ヶ谷

2008年11月20日「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」の設立記念記者発表会が開催され、テレビ、新聞、医療業界紙など約50名が参加。設立への思いを込めた講演者のコメントに、会場全体が真剣なまなざしで聞き入っていた。また、厚生労働省・前田光哉氏(健康局総務課がん対策推進室長)からは、この会の取り組みに期待する熱いメッセージが寄せられた。
会の終了後も残って講演者と話し合う記者が多く見られ、子宮頸がんに対するメディアの関心の高さがうかがわれた。

「開会挨拶~会議設立にあたって~」

野田 起一郎
野田 起一郎(議長/近畿大学名誉学長)
子宮頸がんの原因はそのほとんどがHPV感染であり、検診で前がん病変の段階で発見できます。しかし住民の45%は検診を避けているというデータもあり、検診とワクチン接種の両面からのアプローチが必要と考えられます。また、医師や専門家だけではなく、国や自治体、行政、地域住民、メディアが協力しキャンペーンを展開していかなければならないと考えています。
高久 史麿
高久 史麿(顧問/自治医科大学学長、日本医学会会長)
海外に比べ日本は使用できるワクチンの数が多くはなく、HPVワクチンもまだ承認されていません。そうした環境を変えていくことが必要と考え、同会議の顧問を引き受けました。私事ですが、母親が子宮頸がんを患ったということも背景にあります。同会議が子宮頸がん予防の推進力となることを期待しています。

「子宮頸がん検診の現状とこれから」

鈴木 光明(実行委員/自治医科大学産科婦人科講座主任教授、日本産婦人科医会常務理事 がん部会)
鈴木 光明
欧米先進国の子宮頸がん検診受診率は70~80%ですが、日本は23.7%。とくにリスクの高い20~30代の検診率が低く、その主な原因としては、①予防医学への取り組みの遅れ、②検診のインセンティブ不足、③告知方法が適切でないなど検診受診環境の不備などがあげられます。今後、国や地方自治体に対して、受診率向上に向けての積極的な方策提言を行っていきます。

「子宮頸がん検診へのHPVテスト導入の費用対効果」

今野 良(実行委員長/自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科教授)
今野 良
日本で承認申請中のHPVワクチンは、子宮頸がんの発症原因となる16型と18型のHPV感染を予防でき、これにより7割程度の子宮頸がんが予防できるとみられます。現在世界の108カ国で承認され、オーストラリアやイギリスでは、女児に対する全額公費助成を実施しています。日本においても、公費および保険制度化によってワクチンが広く接種されれば、子宮頸がん発生・死亡の減少が期待されます。
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