子宮頸がん検診最新動向~当会実行委員 鈴木光明が記者に語る

日時:2009年8月6日(木)10:30~11:30
会場:厚生労働省

「平成21年度 女性特有のがん検診推進事業」を受けて、各市区町村では、検診無料クーポン、検診手帳の作成・配布が進められている。今回の事業に関する日本産婦人科医会の要望書を当会実行委員・鈴木 光明(日本産婦人科医会がん部会)が厚生労働省がん対策推進室に提出し意見交換した後、医療関係記者の取材を受け、子宮頸がん検診に関する最新の動きについて語った。

「子宮頸がん検診最新動向」

鈴木 光明(実行委員/自治医科大学産科婦人科講座主任教授、日本産婦人科医会常務理事 がん部会)
今回の事業については、画期的な取り組みであると厚生労働省に感謝している。検診が無料で受診できることに加え、直接受診者に案内を送付する点は大きい。通常、広報紙やホームページで告知するケースが多く、受診対象者に個別に通知している自治体は5割程度。日本の検診受診率が欧米に比べて低いのは告知方法に問題があるのではないかと従来より指摘されていた。
厚生労働省が作成した検診手帳は、短期間に作成しなければならなかったため、子宮頸がんに関する内容が一般女性向けのものとしては多少不足していたり、誤解を招き兼ねないような記載も散見されているとの報告が医会に寄せられている。実際に活用する産婦人科医が説明しやすく、受診者にもわかりやすい内容が望まれる。また、検診結果から対処法がすぐわかる記述、継続受診を喚起できるようなページもあるといい。そこで医会では、資料「子宮頸がん検診への正しい理解のために」を作成し、各都道府県支部に配布、適宜利用してもらうように働きかけをする。
今我々が検討しているのはソフトの面だ。今回クーポンの対象となる20歳と25歳の女性は学生かOLだが、産婦人科の診療時間内に来院するのは難しい。平日の夜の診療時間を延長する、検診車を土日に動かし集客・PR効果のある大型ショッピングモールで検診を行なうなど、若い女性が受診しやすい環境整備も重要だ。25歳以下の子宮頸がん検診受診率は3~4%。受け皿が無いことで今回クーポンが活用されず受診率が低いままならば、来年以降の国の施策にも影響する。今回受診率がどれだけ伸びたかは、自治体と医療側の努力をはかる指標になる。目標とする検診受診率50%に向けての良いきっかけにするため、医会として何ができるか、これからの手立てを考えていきたい。
「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」としても、女子大学生啓発のため大学の女子トイレなどにポスターを掲示する、若い女性が多く行きかう新宿アルタ前などで啓発CMを流す、クーポンの配布時期に合わせてさまざまな啓発を行うために配布時期について全自治体へのアンケート調査を実施する、などの事業を進めている。9月にはアンケート結果の発表、11月にはWHO関係者など子宮頸がんの専門家を多数招いてのセミナーも企画している。
本日の医会の要望書提出に際し厚生労働省は、専門家の意見を取り入れ自治体に働きかけるなどの支援もしたいと述べた。HPVワクチン認可を間近に控え子宮頸がん関係は大きく動いている。検診受診率向上、子宮頸がんから女性たちを守るため、メディアにも世論の喚起をお願いしたい。
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